#例のグラボ
概要
今ツイッター界隈で #例のグラボ が盛り上がっています。
とあるIT企業がマイニング事業として立ち上げた大規模マイニングサーバーが、仮想通貨ブームの終了により解体され、そこで使われていた全国のパソコン工房に中古のRadeon RX470が大量に出回り始めたのが事の始まりでした。
年内からすでに出回っていたようですが、グラボといってもマイニング用のため、HDMIやDisplay Portといった映像出力端子が何も搭載されておらず、普通のRX470よりは安い(6500円)とは言ってもなかなか手を出しづらいものでした。
そこからあるツイートにて
例のグラボを…
— はまっち@ฅ้้้้้้้้^•ﻌ•^ฅ้้้้้้้้ (@Hamache9801) 2019年1月10日
こうして
こうして
こうして
こうじゃ pic.twitter.com/9fTFhYnnNK
なんと、(自己責任にはなりますが)半田付けすればHDMIを復活できることが判明しました。
これによりハッシュタグ #例のグラボ として瞬く間に解析が進められ、チップ抵抗とチップコンデンサの半田付けで安定してHDMIを復活できることが判明しました。
参考URL media.dmm-make.com
無改造状態でも、CPU内蔵グラフィックスから映像出力をしてWindows10の機能でゲームにだけRX470を使う、という状態(いわゆるeGPU状態)でも使えましたが、せっかくなので自分で半田付けしてみることにしました。
半田付け
4箇所のネジを取り外し、ファン部分を取るとHDMI端子付近に結線されていない箇所が見えると思います。
ここに1005サイズの5.1Ωのチップ抵抗と0.1μFのチップコンデンサを半田付けします。
大阪日本橋のシリコンハウスにコンデンサは売ってました。なお店員さんによると他のチップ抵抗なども用意したいとのことでした。(店員さんに部品の在庫を聞いた際に「例のグラボですか?」って聞かれたの本当に面白かったです。)
合計16箇所の半田付けでHDMI端子が復活します!
とは言っても、1005サイズとはつまり1mm × 0.5mmのチップということなので、かなり難しいです。
私は0.6mmの細いハンダと、チップ部品向けの先の細い半田コテを用意して挑みました。
あまり綺麗にはできませんでしたが、なんとか半田付けできました。
ブラケットに穴あけ
HDMI端子そのものは最初から搭載されていますが、端子はブラケットでふさがっています。
そこでブラケットに穴をあけて、HDMI端子を使えるようにします。
ドリルで穴をあけて、
金切ばさみで切って、
ペンチで何度か折曲げて、金属疲労で切れたのをやすりで丸くして完成です。
動作確認
AMDのグラボは同一世代のものを二枚挿すと同時使用して性能向上できるCrossFireという機能があります。今回HDMI端子を復活させたことにより、CrossFireでの動作が可能になりました。
とはいってもCrossFireはどのゲームでも使えるというわけでは無く、ごく一部のゲームで、さらにフルスクリーンモードのみ。という制約があります。
私が好きなForza Horizon 4は残念ながら非対応でした。
有名なタイトルだとFF14が対応しているようなので、FF14ベンチマークを動かしてみました。
何度か動かしてみましたが、約14000くらいのスコアでした。これはNVIDIAだとGTX1070TiやGTX1080くらいの性能です。6500円×2でこのスコアはかなりアツい。
RX470一枚だと9500前後だったので、CrossFireで約1.5倍の性能が出ていることがわかります。CrossFireいい感じ。
ちなみに、ベンチマークソフトである3DMarksのFireStrikeのスコアが、
CrossFireで17298でした。
GTX1070Tiが15354なのでゲームのCrossFireの対応次第では1070Tiを超えるということです。激アツですね。
まとめ
約6500円でこれだけの性能のグラボが手に入るのは本当に最高です。もし普通に買うならどうしても安定のNVIDIAを選んでしまうので、今回のような機会がなければAMDグラボを使うことはなかったと思います。
今回の記事では触れませんでしたが、AMDのグラボには24fps、30fpsの動画を60fpsにフレーム補完するFluid Motionという機能があって、これがアニメを見る際に最高です。(なかなか再生できるようになるまで手順が面倒でしたが)
他にも、AMDグラボはNVIDIAとは違ってLinuxドライバがオープンなので、いろいろとメリットがあるようです。これについては今後試そうと思います。